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選択的夫婦別姓 別れる賛否

日本では結婚する際に夫婦の姓をどちらかへ合わせることが法律で決まっている。これを結婚後も夫婦が別姓でいられるようにするのが「選択的夫婦別姓(氏)制度」だ。この制度について法学部の高橋朋子教授に取材した。

夫婦同姓の規定は、妻が夫の家の名を名乗る義務があった旧民法における「家制度」の名残だ。現在でも95%以上の夫婦は妻が姓を変えている。旧姓は住民票やマイナンバーカードへの併記など限られた公的場面や、一部の企業でしか利用できない。そのため女性の社会進出が進むにつれ、職場で姓が変わる不便さを被る人が増えてきた。


現状の制度で夫婦が別姓になりたい場合、婚姻届を出さずに結婚生活を送る事実婚という手段を取ることが多い。しかし事実婚では、婚姻届で法的に認められている夫婦と比べて社会的な扱いに違いがあるのも事実だ。例えば家族関係を証明する公的な書類が無く、家族用の税金控除などが受けられない。相続権も認められず、親権が認められるのは一方の親だけだ。民間の契約においても一定の条件を満たさない場合、手続きを受けられないことがある。


そこで、結婚しても夫婦が別姓でいることを選べる「選択的夫婦別姓(氏)制度」を求める声が出てきた。夫婦別姓に対しては賛否が分かれる。夫婦同姓によって起こる男女間の不平等やアイデンティティーの喪失などの問題が解決される一方、家族の一体感が無くなるというデメリットを主張する人もいる。現在、最高裁判所は夫婦同姓の規定を憲法違反でないと判断している。しかし、裁判官の間でも意見は分かれている。姓の変更を強いることは人格権の侵害にあたるのか、結婚に対して姓の統一という条件を付けるのは二人の意思によってのみ決められる「結婚」の自由への侵害にあたるのか、などが論点となっている。


それぞれの主張を、あなたはどう感じただろうか。今ある制度を当然だとは考えずに現状を見つめ、知ることが意見形成の助けとなるだろう。(小川紀寧)

家族療法 相互理解のきっかけに

多くの人が個人の精神的な問題はその人の心に原因があると捉えてしまいがちだ。しかし、それを個人だけでなく、家族全体の問題として捉え解決を試みる家族療法という心理的ケアの手法ががある。今回、日本家族療法学会会長の児島達美さんに話を伺った。 人は孤立しているのではなく、周りの人や環境とのインタラクション、すなわち関わり合いの中で生きている。そのため精神的な問題は個人だけでなく、交際関係や職場環境など周り

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