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VR こまめな休憩を

VRはさまざまなものを立体で表せる有益な技術だ。自動車をはじめとする商品見本や、体内環境の再現により手術練習にも応用できる。しかし、VRによってもたらされるのはメリットだけではない。VRの使用で問題になり得る点について、視覚認知学・デザイン学などを研究し、VRにも造詣が深い理工学部の山添崇助教授に取材を行った。


まず、VR機器は光源が至近距離にあることから、目へのダメージが連想される。実際にある程度の眼精疲労は起こるそうだ。しかし、その疲労はコンピューターでの作業より少し大きい程度であり、時間を決めて利用するなどのルールを守れば深刻な影響はない。VRの光量は自然光の約50分の1であるため、網膜への負担も大きくない。


次に懸念されるのはVR酔いだ。これは、目で見る映像の変化と平衡感覚が一致しないときに発生する。特にVRでは他の映像媒体と比べて酔いやすいと言われているが、原因の一つは映像を表示するゴーグルだ。軽量化が図られているとはいえ一定の重さがあり、装着すると首に負荷がかかる。そのため、慣れないうちは想定より頭が動かないことや、それを意識するあまり、頭を動かしすぎるといったことが頻発する。結果として想定と実感がずれ、酔いが引き起こされてしまう。ゴーグルの重さが、耳にある平衡感覚器官の動作を阻害することも酔いを誘発する。


現状で想定される主なリスクは、眼精疲労やVR酔いという比較的軽微なものだが、その負担は無視できない。VRコンテンツの作成者も、激しい画面変化の抑制や、映像の奥行きに差を設け眼筋の凝りを防止するなどの対策を行っている。しかし、これらの技術は発展途上だ。利用者自身がこまめに休憩を取るなど対処を行い、適度な利用を心掛けるべきだろう。(小川紀寧)


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ゴーグル登場で大衆化

VRは「Virtual Reality」の略であり「仮想現実」「人工現実感」と訳される。現実には存在しないものを現実だと体感させる技術やシステムを指す。専用のVRゴーグルの登場により、大衆化も進んでいる。従来の映像技術にはない臨場感や没入感を有することから、ゲームをはじめとするエンターテインメントコンテンツにおける活用が目立つ。 混同されやすい技術に、AR(拡張現実)が挙げられる。コンピューターを

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