top of page
成蹊大学新聞会

2024年7月号並木道

私には舞台俳優を生業としている友人がいる。普段はおとなしい性格の彼だが、舞台上では一変して過激な役を演じることもある。日常生活では見られない一面を知ることができるため、私は彼の芝居が大好きだ。たとえ舞台上で他の誰かを演じていたとしても、演技からは俳優の「自分らしさ」が感じられる。演技も自己表現の一種だ。


広島県公立高等学校入学者選抜では、去年から面談形式の「自己表現」が実施されている。広島県教育委員会によると、「自己を認識し、自分の人生を選択し、表現することができる力」がどれくらい身に付いているかを評価する目的があるという。


この試みについて、自己表現を点数化することに違和感を覚える人もいるかもしれない。しかし、このようなことは何も珍しいことではない。現に私たち大学生にも、自己表現を評価される場面がある。それは就職活動のときだ。自己PRや志望動機などを聞かれ、私たちは思うがままに自分を表現する。そして面接官が私たちの受け答えを見聞きして評価し、内定が決まる。


ふと考えた。今の自分が入学者選抜で「自己表現」を受けたら、検査官から何点の評価を得るのだろう。就職活動を控える大学生にとって「自己を認識し、自分の人生を選択し、表現することができる力」はまさに必須の能力だ。しかし、中学卒業から数年が経過した今、満点で合格できると言い切れる大学生はどれだけいるか。就職活動を始める前に一度立ち止まり、己の「自分らしさ」と向き合ってみてほしい。(鈴木恭輔)

0件のコメント

物事の判断力を養う 読書の意義

古くから人々の娯楽であり、知識を得る手段でもある読書。大学生が読書をすることにはどのような意義があるのだろうか。本学文学部日本文学科の大橋崇行教授にお話を伺った。 大橋教授は「情報を確かめる力は、読書でしか得られない」と話す。現代ではさまざまな情報を得ることができる一方で、...

Comments


bottom of page