2020年12月 並木道

世界中の人々が感染症に怯えながら過ごした2020年。日本ではそんな国民を元気づけるかのように「誰も傷つけない笑い」という言葉がメディアを通じて流行した。単刀直入に言うと、私はこの言葉を見るたびに不快な気持ちになる。笑いに限らず「誰も傷つけない」表現など、世の中に存在しないと考えているからだ。


「内面的・主観的なものを外面的・感性的にとらえられる手段・形式によって伝達しようとすること」(新明解国語辞典 第7版)。これは「表現」という言葉の意味だ。誰かの発言一つ取っても、そこには発した人の思想や感情が表れる。当然、それを聞いて共感する人もいれば、反対する人もいる。表現とは必ず賛否両論の声が上がるものであり、それが健全だろう。「誰も傷つけない」という言葉を使う人間は、物事の良い面だけを見ようとしていると思えて仕方がない。


むろん、他者を気遣い、一つ一つ言葉を選んでいくことは大切である。しかし、どんなに配慮したとしても、全ての人が良いと思える表現はない。そのように開き直って考えた方が、かえって多面的に物事を捉えられそうだ。


誰も傷つけない幻の表現を探している時間があるなら「自分の発言が誰かを傷つけることもある」という覚悟を持つべきだろう。ひとり時間が増え、他者との対話が減っている今だからこそ「誰も傷つけない」なんてまやかしの言葉で、自分の視野を狭めないでほしい。(茂木佑太朗)

理工学部改組 「新しい理系」の養成へ

来年4月、理工学部が現行の3学科から1学科5専攻に改組される予定だ。課題解決に向けて自らのビジョンを提示し、新たな価値を創造する「新しい理系」の養成を掲げており、3つの特別プログラムや実践的な科目などを設置する。 改組には主に2つの目的がある。まず、確かな専門性と共に、ICTに強く社会に立ち向かえる人材を育成することだ。近年はAI技術の進歩が加速し、ICT活用力を持つ人材の需要が高まっている。こう