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成蹊大学新聞会

4月号 並木道

更新日:2020年11月24日

 「パターン化は間違いを生み出しやすい」これは昨年ベストセラーとなった、ハンス・ロスリング他『ファクトフルネス』(上杉周作・関美和訳、日経BP)の一節だ。人はある事柄に該当することが、類似する他のものにも当てはまると思いやすい。


 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い発生した、ティッシュペーパーとトイレットペーパーの買い占めは、分かりやすい例だろう。発端となったSNSへの投稿は「製造元の中国が生産を止めているため、マスクに続いて品薄になる」といった内容。確かに、日本に出回るマスクはおおむね中国からの輸入によるものだ。しかし、ティッシュペーパーやトイレットペーパーの多くは国内で生産されており、在庫が十分あった。デマをうのみにした人々は「パターン化の罠」に引っかかったというわけだ。


 SNS上のデマは真実よりも拡散されやすい。2018年にマサチューセッツ工科大学は、ツイッターの投稿の調査結果を発表。これによると、誤情報は正しい情報よりも約20倍速く拡散されるそうだ。誤情報はインパクトが強く、新鮮に感じやすいことが原因に挙げられる。


 インターネットが高度に発達した現代では、情報量は膨大だ。必然的に、偽りや誤解を含んだものに出合う可能性も高くなる。デマに踊らされずに情報を正しく取捨選択するためには、先入観を捨て、吟味することが重要だ。(山﨑慶至)

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