音楽療法という言葉を知っているだろうか。これは、音楽の力と人との関わりを使って健康支援を行うことだ。そこで音楽療法について、日本音楽療法学会とNPO 法人音楽療法の会武蔵野の理事長を務める藤本禮子さんに話を聞いた。
音楽療法は、音楽療法士の立ち会いの下行われ、受動的な方法と能動的な方法に分かれている。受動的な方法は音楽療法士が付き添って音楽を聴く方法であり、能動的な方法は歌唱や楽器演奏、体を動かすなどの活動を指す。能動的な方法では、使用する曲のジャンルはさまざまだ。楽器も療法を受ける人に合ったものを選択しており、好みの音色はもちろんのこと、働かせたい体の機能に応じて打楽器や鍵盤楽器などの種類を使い分ける。
現在では子どもの発達支援に加え、認知症や痛みの緩和などにも効果が認められ、教育や医療、福祉など多くの現場で活用されている。音楽療法の会武蔵野では、能動的な方法で音楽療法を行う。子どもに対しては、楽器演奏や体操など身体活動を含む音楽療法を提供。一方、高齢者には歌唱をはじめとするグループ活動を中心に行うなど、対象によって異なる方法を採っている。
音楽療法は音楽療法士がいることによってはじめて成立する。しかし、現在音楽療法士の数は少なく、民間資格であるため認知度も低い。藤本さんは「音楽療法を受ける人のためにも、国家資格として認定されることを目指している」と語る。音楽療法士が増えることで、多くの活用法がある音楽療法をより広く利用できるようになってほしい。(石井涼雅)
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