九州を襲った豪雨から1年が経とうとしている。日本においては災害が多発しているが、災害時のリスク等をまとめたハザードマップを意識する人はそれほど多くない。2019年に一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワークが、全国の15~69歳1772人を対象に、ハザードマップに関するアンケート調査を実施。「ハザードマップを見たことがあり、周辺の災害リスクを理解している」と答えた人は17.7%にとどまった。20代ではわずか7%であり、防災意識の低さが課題になっている。
災害への意識や関心を高める手段としてVRやARが注目されている。地震のVR体験では、室内の揺れを忠実に再現した映像を流すと、座っている座席にVR空間より少ない振動を与えても、実際より大きく揺れているように感じることが明らかになった。また、AR浸水・煙体験アプリが小学校で活用された事例もある。参加した児童の約94%から、浸水と煙のAR 体験を通し、災害に備える行動を起こそうと思ったとの声が上がった。これらからVRやARによる災害体験は災害を実感させ、危機感を与えることが分かる。
VRやARを活用すれば安全にリアルな体験が可能なため、災害を考える良いきっかけとなる。この機会にアプリを利用して災害への備えをしてみてはいかがだろうか。(二宮聖司)
《参考文献》
VR/ARによるシミュレーション結果の可視化から体験化、経験化へ 防災教育等への応用(板宮朋基、日本臨床麻酔学会誌、2021年)
Comments