クラシック音楽をはじめとする演奏会で完成された音色を聴くことだけでなく、楽器を自ら演奏することにも楽しさがある。そこで、演奏の魅力について本学管弦楽団のコンサートミストレスでバイオリン奏者の寒河江旭代さん(現代社会3)と、学生指揮者でありトロンボーン奏者の鈴木智也さん(政治3)に取材した。
同楽団では、夏と冬に年2回開催する演奏会を活動の軸としていることに加え、欅祭のオータムコンサートなどでも発表を行っている。目標には「成長を楽しむ!」を掲げ、互いに高め合いながら日々練習に励んでいる。時には、音楽への思い入れ故に団員間の衝突も起きる。しかし、そうした困難を乗り越えることがより良い演奏につながり、思い出として笑い合えるほどにまで仲も深まる。
寒河江さんは、自分の好きな曲を思い通りに弾けるようになった時はもちろんのこと、仲間と練習を重ねて曲を完成させていく過程が演奏の魅力だと考えている。さらに、演奏会において自分たちの熱量が観客に伝わり「会場全体が一つになっていた」といった感想をもらうことでもうれしくなるという。
「現代の自分たちが数百年前の人々を熱狂させた音楽に触れられることが、演奏の何よりの尊さであり、魅力だ」と語るのは鈴木さん。「オーケストラ」という一つの音楽ジャンルの中でも、時代や作曲家ごとに注目すると新たな発見がある。19世紀に活躍したブラームスの譜面には、ベートーベンの曲に登場するフレーズやバッハの曲に見られる旋律が隠れている。作曲家たちが楽器に込めた仕掛けや先人に向けた尊敬の気持ちに気付くと、演奏することがさらに楽しくなる。
2人は「楽器には、その種類や演奏者次第でさまざまな音色を奏でられる奥深さがある」と口をそろえた。演奏会に向けて日々練習に励む同楽団も、演奏の楽しさがモチベーションにつながっているのだろう。楽器を手に取って、自分なりの演奏の楽しさを探してみてはいかがだろうか。(万浪耀)
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