意志による家族 拡張家族

多様性がうたわれる昨今、従来の考え方に縛られない家族観が広がりを見せている。一般社団法人 Cift は新しい家族の形である「拡張家族」として活動する団体だ。その代表理事を務める石山アンジュさんに話を伺った。

「拡張家族」とは、血縁によらず相手を家族だと思うことでつながり、共に生活する共同体だ。Cift では、0歳から60 代までの多種多様な人々が一つの家族として暮らしている。メンバーに義務的な役割はなく、朝食作りなども当番制ではない。各々が自分のできることで家族に貢献し、生活を成り立たせている。


石山さんは拡張家族への参加を通じて「世界平和」の実現を目指している。政治や経済など、数を重視する方法で誰一人取り残さない平和を実現することは難しいと石山さんは語る。その実現には「もし相手が家族だったら」と考えることで生まれる「良心」が必要だという。良心によって肩書や価値観の違いを乗り越え、平和と共同体の輪を広げていくそうだ。この「世界平和」はCiftの理念にもなっている。


2017年に38人から始まった Cift は、今や110人規模の団体となった。だが、規模が広がるにつれ互いの顔と名前が分からないメンバーも出始めた。また、コロナ禍の影響で共に暮らすことのハードルも高まっている。そのような状況においても家族でいられるのか。拡張家族はその在り方を模索し続けている。


拡張家族の一員である石山さんにとって、家族とは「お互いの人生を自分の事のように受け取ってもらえるつながり」だという。その上で「家族」だから役割や責任を負わなければならない、という固定概念に縛られず、自然と相手のために行動したいと思えるかを大切にしているそうだ。拡張家族の考えは、家族に対する新しい視点をもたらす。家族関係に悩みを感じた時、このような価値観を思い出すことが助けになるかもしれない。(小川紀寧)