祭りは今、存続の危機にひんしている。過疎化や少子化、若者の流出による担い手不足が大きな課題だ。将来の担い手はもちろん、現在祭りを行う人員さえ足りていない所も多い。
NPO日本の祭りネットワーク理事兼事務局長の加藤正明さんは「祭りの衰退は地域の瓦解を招く」と話す。祭りは人々のつながりを再確認する機会となり、日頃の声掛けや有事の際に助け合える関係を作る。地域の人々にとって祭りは祭り以上の意味があるのだ。
祭りが開催危機にひんする一方、地域と学生の協働により開催されている祭りがある。新潟県関川村とNPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)による「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」はその一例だ。ギネス世界記録に登録された「竹とワラで作られた世界一長い蛇」を担ぐこの祭りは、100~200人の学生に力を借りている。
祭りの人員を補うだけでなく、学生には別の働きも期待されている。地域の存続のためには、村の一人一人が地域を支える必要がある。ボランティアで参加している学生には、そうした地域に貢献していく精神を村の人に伝える役割もあるそうだ。
祭りを通した地域との交流は学生にとって貴重な経験となる。IVUSAの活動に参加した冨塚さんは、新しく出会う村民との関係に苦労するも、「また来てね」という言葉が嬉しく、再び訪れたくなると話す。IVUSAのOB・OGには関川村を第二の故郷と感じ、十数年来の付き合いをする方もいる。
祭りは新たな人とのつながりを築き、旧知の人とはその絆を再確認させる。そうした視点を持つ参加者が増えれば、祭りの存続に希望を持つことができるかもしれない。(秋田彩夏)
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