トレーニングをどこでも 研究進む

VRをスポーツの分野に応用しようとする試みは、多くの研究機関や企業で行われている。本学でも理工学部の小方博之教授が、VRを利用したスポーツトレーニングについて研究を進める。現在は主に、VRを用いたテニスやスキーなどのトレーニングを扱っている。


このVRのトレーニングシステムが実用化される最大のメリットは、実世界では不可能なトレーニングが可能になることだ。例えば、VR上で一流のテニス選手のサービスを受けることができたり、季節や場所を問わずスキーの練習ができたりする。スカイダイビングといった危険が伴う競技を安全に練習できることも、大きな利点だ。さらに、VR上で遠隔地のコーチから対面に劣らない質の指導を受けるという新たなサービスも期待される。


一方、VRを利用したスポーツトレーニングの障壁は、VRゴーグルの着け心地とVR酔いだ。現状、VRゴーグルは運動時に装着するには重すぎるため、軽量化が求められる。VR酔いのメカニズムの解明と低減も必要だ。また、トレーニングシステムそのものはVRとは別の技術であり、いまだに開発段階だ。使用者のフォームを評価するには、動作を測定するセンサーと、そこから得られるデータを適切に処理するAIが必要となる。さらに、VRでトレーニングを行うスペース確保の問題もある。広範囲にわたって動く競技の場合、広い場所の確保が必要になるため、どこでも練習ができるというVRの強みは生かされない。解決策として、屋内でランニングをするための機器である「トレッドミル」を全方位可動するように改善し、トレーニングシステムと連動させる試みなどがある。


小方教授は「VRは従来のメディアと全く異なり、臨場感等がより強く感じられることを目指している」と話す。性能がより向上し体験できるコンテンツが増えれば、普及していくだろう。アミューズメント用のVRスポーツであれば、使用による運動能力の向上が目的でないため、実現へのハードルは下がる。娯楽への使用から、VRを利用したトレーニングシステムの実用化へとつながることが期待できる。今後の発展から目が離せない。(中西幸太)

ゴーグル登場で大衆化

VRは「Virtual Reality」の略であり「仮想現実」「人工現実感」と訳される。現実には存在しないものを現実だと体感させる技術やシステムを指す。専用のVRゴーグルの登場により、大衆化も進んでいる。従来の映像技術にはない臨場感や没入感を有することから、ゲームをはじめとするエンターテインメントコンテンツにおける活用が目立つ。 混同されやすい技術に、AR(拡張現実)が挙げられる。コンピューターを

映像進化 没入感を生む

VR開発ブームの契機には、フェイスブック社がオキュラスVR社を20億ドルで買収したことが挙げられる。オキュラスVR社は創業から間もないベンチャー企業で、VR映像を映すヘッドマウントディスプレイの開発中であり、ほとんど利益を上げていなかった。その中で20億ドルで買収に踏み切ったことから、フェイスブック社のVRに対する期待の大きさがうかがえる。 VRは映画産業からも強い関心を得ている。身近な例が、36